大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)3181号 判決

第一、被告人中野光章は公に認められた場合でないのに拘らず昭和二十五年四月上旬頃から同年五月中旬頃迄の間肩書住居等において連合国占領軍又はその将兵の財産である米国軍票七十五弗を所持した旨を判示しているが、その挙示する各証拠の内容を詳細に検討すれば、これにより被告人が原判示期間内において数回に亘り一回米国軍票十五弗乃至三十弗を所持していた事実を窺い知ることができるが、右各証拠によつては未だ被告人が右期間内のいずれの一時期においても米国軍票七十五弗を不法に所持していたものとは認められない。而して原判決の法律の適用を見ると被告人の原判示所為が昭和二十四年政令第三百八十九号第一条、第四条に該当するとのみ摘示していて、刑法第四十五条或は同法第四十七条の規定を掲げていないところから見ると、原判決の認定は一個の犯罪事実を認定する趣旨と解せざるを得ない。而して原判決が被告人の犯罪事実として原判示期間内の一時期における米国軍票七十五弗の不法所持の事実を認定した趣旨とすれば、これは明らかに原判決には刑事訴訟法第三百七十八条第四号の違法があるものと謂うべく、或いは又、被告人が原判示期間内において数回に合計七十五弗の軍票不法所持をなした点を包括一罪と解し原判決のように事実摘示をした趣旨とすれば、その罪数に関して法律の解釈を誤つたことになると謂わざるを得ない。原判決がいずれの意味であるか不明であるが、飜つて本件起訴状を見ると被告人の犯罪事実として原判決の事実摘示と同趣旨の事実を記載しているのであるから、原裁判所が事件の審理をなすに当つては先づ起訴状記載の訴因につき釈明をしてその罪数を明確にしたならば、或いは前記のような誤を防ぎ得たものと考えられる。いずれにしても原判決は破棄を免れないから本件控訴は理由がある。

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